読み終わった後の、なんだこれ!
個人的には結構な衝撃。
小説というか戯曲らしいです。
作者はバーナード・ショー。
(『バーナード嬢曰く』のタイトルの元ネタでしょうか?
漫画の方は一巻読みました。楽しかったです。)
物語は音声学の権威であるヒギンズとそして花売り娘のイライザがメインに進みます。
このヒギンズというのが人に対して嫌なことをずけずけと言う、育ちはいいし仕事に情熱も持っているけど思いやりのない男性なんだわ。マザコンでわがままだし独身主義。
一方ヒロインたるイライザは花屋で仕事をしたいと思っているが、育ちが悪くて言葉遣いがなってないせいで道端で花を売って日銭をかせぐしかない生活をしている。
ヒギンズと彼の友人となった方言学の専門家ピカリングで、育ちと言葉が悪いイライザを貴族の娘のように仕立てて誰にもばれないかという賭けをすることになるんですな。面白半分に。貴族の言葉遣いと教育を施して、賭けが終わった後はどこへなりと行くが良いと。
で、ですよ。
これってあれじゃん?マイ・フェア・レディ。
私は映画を見たことがなかったし、いっちょ読んどくか~くらいの気持ちで読んだわけですわ。
読んで!
映画もいいけど、ぜひこっちを読んで!アマゾンプライム会員ならキンドルで0円で読めるから。
以下、ネタバレですよ。
ヒギンズの情熱とイライザの努力により、イライザは美しい言葉遣いをすることできるようになる。ドレスも彼らから与えられ、その美しさも開花する。
ヒギンズとピカリングと一緒に暮らすことにより、(特にヒギンズの)こまごまとした雑用もやって必要とされるようになる。
勿論たくらみは成功して彼女は王族と間違われるほどの成功を収める。
が、ヒギンズとピカリングにとって彼女は面白い実験台に過ぎないということをイライザは悟る。怒って彼らのところから出ていこうとするが・・・・
いやはや、もうここまで来たら嫌な奴だけど彼女をレディに仕立ててくれたヒギンズとくっつくと思うじゃない?はいはい、シンデレラストーリーな。
しかしイライザはヒギンズが戻ってきてほしいと嘆願するにも関わらず、自分を尊重せず便利な小間使い程度にしか考えていないと感じ取るわけだ。彼女は、彼女を慕うフレディという没落貴族の坊ちゃんを選ぶんだな。いい人そうだけど無能っぽい坊ちゃんだ。
えええ、そ、そんなの有りなんですか!
そしてこの戯曲には後日譚がある。これは戯曲では語られない部分みたい。
彼女は 一生ヒギンズのスリッパを取ってくる人生と、フレディが彼女のスリッパを取ってくる人生の、どちらを選ぶだろうか? 答えは一目瞭然である。
なぜスリッパを取ってくる人生を選ばないのか、そうする理由もきっちり書かれている。
そしてイライザとフレディらのその後の生活も描かれている。決して裕福な生活はできないけど努力し、ピカリング大佐らの協力を得ながらどうにか幸福になろうとする。
これは、後日譚が一番面白いところだわ。
そして後日譚は、主人公の二人が結ばれるなど想像されただけでも困る、という主張で書かれたものらしい。
おおお・・・マイフェアレディ・・・
よくあるロマンスだと思って読んだら衝撃を受けた。
この衝撃が名作たる所以なのだなきっと。